「飲食店の内装を和モダンにしたいけれど、どこから手をつければいいのかわからない」
「和風になりすぎず、洗練された空間にするコツを知りたい」
そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
和モダンな飲食店内装は、天然素材・配色・照明・席構成という軸を押さえれば、落ち着きと高級感を両立した空間に仕上げられます。
感覚だけでつくると和風にも洋風にも寄りすぎてしまうため、押さえるべきポイントを先に知っておくことが大切です。
本記事では、和モダンの特徴やデザインの7つのポイント、和食店・居酒屋・カフェなど業態別の考え方、坪単価の費用相場、失敗しない業者選びまでを、これから開業・リニューアルする方向けにわかりやすく解説します。
目次
和モダンな飲食店内装とは

まずは、和モダンがどのようなデザインなのか、その基本を押さえておきましょう。
言葉の意味と純和風との違いを知ることが、空間づくりの第一歩になります。
和モダンの意味と純和風との違い
和モダンとは、日本の伝統的な素材や意匠を活かしながら、現代的で洗練された空間に再構築したデザインを指します。
純和風との最大の違いは、装飾の量と線の使い方です。
純和風が畳・障子・欄間などを重厚に積み重ねるのに対し、和モダンは要素を絞り込み、直線とミニマルさで今の感覚に合わせます。
たとえば同じ畳でも、縁付き畳を敷き詰めれば和室の印象が強くなりますが、正方形の縁なし畳を市松に配せば一気にモダンな表情になります。
伝統素材を使いながらも古臭くならないのが、和モダンの魅力といえるでしょう。
飲食店で和モダンが選ばれる理由
飲食店で和モダンが選ばれるのは、集客とブランドづくりの両面で強みがあるからです。
落ち着いた上質な空間は客単価を上げやすく、木の質感や柔らかな照明は写真映えするため、SNSでの拡散にもつながります。
さらに、格子や和紙、木材といった和の要素は訪日客に「日本らしい空間」として好まれやすく、インバウンド需要とも相性が良好です。
年齢や性別を問わず親しみやすい点も、幅広い業態で採用される理由といえます。
和モダンな飲食店内装の特徴とメリット

和モダンを取り入れると、店舗にどのような効果があるのでしょうか。
ここでは、集客や経営にもつながる3つの特徴とメリットを整理します。
- 落ち着きと高級感で客単価を上げやすい
- 経年変化を楽しむこともできる天然素材の耐久性
- SNS映え・インバウンド集客に強い
和モダン・純和風・洋風モダンの違いを整理すると、和モダンが「上質さ」と「入りやすさ」を両立しやすいことがわかります。
| スタイル | 印象 | 向いている業態 |
|---|---|---|
| 純和風 | 格式高く重厚、敷居が高い印象も | 老舗料亭・高級割烹 |
| 和モダン | 上質さと入りやすさを両立 | 和食店・居酒屋・寿司・和カフェ |
| 洋風モダン | スタイリッシュだが和の温かみは弱い | ビストロ・バル・カフェ |
落ち着きと高級感で客単価を上げやすい
和モダンな空間は、客単価を上げやすいのが大きなメリットです。
理由は、落ち着いた素材感と間接照明が「その店で過ごす時間そのもの」に価値を感じさせるからです。
ゆっくり食事を楽しめる空間は滞在時間を延ばし、追加注文やコース利用にもつながります。
上質な体験はリピーターの獲得にも寄与するでしょう。
経年変化を楽しむこともできる天然素材の耐久性
和モダンで多用される天然木材や竹、漆喰などは、耐久性が高く経年劣化を「味」として楽しめる素材です。
年月が経つほど色味や質感が深まり、開業から時間が経っても古びた印象になりにくいのが強みといえます。
頻繁な内装刷新を避けられるため、長期的な投資対効果の面でもメリットがあります。
SNS映え・インバウンド集客に強い
格子壁や和紙照明、坪庭や植栽を取り入れた和モダン空間は、視覚的な魅力が高く「撮影したくなるポイント」をつくりやすい点も見逃せません。
投稿された写真が広告効果を生み、新規顧客の来店動機になります。
加えて、日本らしい意匠は訪日客にも好まれるため、広告費をかけずに集客力を高められる可能性があります。
和モダンな飲食店内装をつくる7つのポイント

ここからは、実際に和モダンな内装をつくるうえで押さえたい7つのポイントを解説します。
素材から配色、席構成まで順に見ていきましょう。
- 天然素材で和の素材感を出す
- 配色は「黒・白・茶」に差し色を効かせる
- 照明で陰影と柔らかさを演出する
- 和と洋の家具・建具でバランスを取る
- 席構成と動線を業態に合わせて設計する
- 外観と内装の世界観を統一する
- コンセプトとターゲットを先に固める
天然素材で和の素材感を出す
和モダンの土台になるのが天然素材です。
天井や壁、床に木材・竹材・漆喰・珪藻土などを部分的に取り入れると、和の雰囲気を自然に演出できます。
壁紙に和紙を使ったり、床にタイルや畳のような色合いのカーペットを敷いたりするのも効果的です。
全面に使うと重くなるため、空間全体のバランスを見ながら要所に配するのがコツになります。
配色は「黒・白・茶」に差し色を効かせる
配色は、黒・白・茶・グレーなどの落ち着いた色を基調にするのが基本です。
明るすぎると和の雰囲気が薄れ、暗すぎると入りにくい印象を与えてしまいます。
ベースをアースカラーでまとめたうえで、朱色・藍色・からし色・金銀などをワンポイントで差し込むと、単調になりすぎず引き締まった空間になります。
原色を広く使うと和の要素が薄れるため、差し色は面積を抑えるのがポイントです。
照明で陰影と柔らかさを演出する
照明は、和モダンの印象を大きく左右する要素です。
和紙や竹のシェードを使ったペンダントライト、暖色系(2700K前後)の間接照明を組み合わせると、柔らかな陰影が生まれ落ち着いた空間になります。
全体を均一に明るくするのではなく、陰影のコントラストで奥行きを出すことを意識しましょう。
手元を照らすカウンター照明とムードをつくる間接照明を使い分けると、機能性と雰囲気を両立できます。
和と洋の家具・建具でバランスを取る
家具や建具は、和と洋を意図的に組み合わせるとバランスが整います。
内装を和で固めた場合はモダンなソファやテーブルを、内装を現代的にした場合は和家具や和紙のランプを合わせる、という逆張りが有効です。
畳を使うなら縁なし畳を選ぶだけでも印象が洗練されます。
どちらか一方に寄せすぎないことが、和モダンらしさを保つ鍵になります。
席構成と動線を業態に合わせて設計する
席の種類ごとに役割を分けると、多様な客層に対応できます。
カウンター席は調理を間近で見られるライブ感が魅力で、一人客や少人数に向いています。
座敷や掘りごたつ席はグループ利用や落ち着いた食事に適し、格子や間仕切りで半個室にすればプライベート感が高まります。
あわせて、配膳しやすい動線を確保することで、居心地と回転率を両立できるでしょう。
狭小店舗のレイアウトは3坪の飲食店レイアウトのコツもあわせて参考にしてください。
外観と内装の世界観を統一する
外観と内装のデザインを一貫させると、店舗の世界観が強く印象づけられます。
ファサードで和モダンの雰囲気を伝えておけば、通行人が入店前に期待感を持ちやすくなります。
暖簾や格子、間接照明で照らしたサインなどを使い、外から中の雰囲気が想像できる設えにすると、和モダン特有の「敷居の高さ」をやわらげ、入りやすい店舗づくりにつながります。
コンセプトとターゲットを先に固める
素材や色を決める前に、コンセプトとターゲット層を明確にすることが最優先です。
高級志向ならウォールナットなどの濃い木材や石材、左官仕上げと暖色の間接照明で落ち着きを演出します。
若年層やカジュアル利用なら、明るさと親しみやすさを重視します。
誰に何を届けたいかが曖昧なままだと、和の要素を並べても魅力的な空間にはなりません。
方向性を先に定めることが失敗回避の近道です。
店舗の業態別に見る和モダン内装のデザイン

一口に和モダンといっても、店舗の業態によって最適な振り方は変わります。
ここでは代表的な4つの業態ごとに、デザインの方向性を確認しましょう。
| 業態 | デザインの方向性 | キーとなる要素 |
|---|---|---|
| 和食店・料亭 | 素材と照明で上質感を演出 | 濃い木材・左官・暖色間接照明 |
| 居酒屋 | 入りやすさと活気を両立 | 暖簾・提灯・明るめの照明 |
| 寿司店・割烹 | カウンターを主役に | 無垢カウンター・手元照明 |
| 和カフェ | 明るさと軽やかさを重視 | 白木・自然光・植栽 |
和食店・料亭は素材と照明で上質感を出す
和食店や料亭では、素材と照明にこだわって上質感を高めるのが基本です。
ウォールナットやチークなどの濃い木材、御影石や大谷石といった石材、漆喰や聚楽壁などの左官仕上げを用いると、深みのある空間になります。
照明は暖色系の間接照明を中心に構成し、落ち着きと高級感を演出しましょう。
高級業態の内装づくりは高級レストランの内装デザインも参考になります。
居酒屋は入りやすさと活気を両立する
居酒屋の和モダンは、重厚になりすぎず入りやすさを保つことが大切です。
高級感を抑えつつ、暖簾や提灯、木の素材感でにぎわいと親しみを演出します。
路面から視認しにくい立地なら、日除け幕やサイン計画で通行人を誘導する工夫も有効です。
カウンターとテーブル、小上がりを組み合わせ、一人客からグループまで受け止められる席構成にすると使い勝手が高まります。
寿司店・割烹はカウンターを主役にする
寿司店や割烹では、カウンターを空間の主役に据えるのが定石です。
無垢材の一枚板カウンターに手元を照らす照明を合わせれば、職人の所作が引き立ち、特別感が生まれます。
背後の壁は左官や木格子で整え、余計な装飾を削ぎ落とすと洗練された印象になります。
素材そのものの質で見せるのが、この業態の和モダンの要といえるでしょう。
和カフェは明るさと軽やかさを重視する
和カフェの和モダンは、白木や自然光を活かして明るく軽やかにまとめるのがポイントです。
重厚な色使いよりも、生成りや淡い色を基調にし、植栽やガラスで抜け感を出すと日中でも心地よい空間になります。
古民家を活かす場合は、無垢材の質感に洋風の家具やガラス戸を合わせると軽やかさが生まれます。
詳しくは和モダンなカフェ内装の作り方や古民家カフェの内装のコツもご覧ください。
和モダンな飲食店内装の費用相場

内装を計画するうえで気になるのが費用です。
ここでは、和モダンな飲食店内装の坪単価の目安と、金額を左右する要素を解説します。
坪単価と業態別の費用目安
費用は業態によって幅があります。
カジュアルな居酒屋は抑えめ、素材や造作にこだわる割烹・料亭は高くなる傾向です。
あくまで参考レンジとして、次の目安を押さえておきましょう。
店舗内装全体の費用感は店舗の内装工事費用の相場もあわせて確認すると把握しやすくなります。
| 業態 | 坪単価の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 居酒屋・カジュアル和食 | 30〜50万円 | 素材を絞り造作を抑えやすい |
| 一般的な和食店・和カフェ | 40〜60万円 | 標準的な仕様のレンジ |
| 寿司店・割烹 | 50〜80万円 | カウンター造作に費用がかかる |
| 料亭・高級業態 | 60〜100万円 | 素材・左官・照明にこだわる |
費用を左右する3つの要素
費用の差は、主に3つの要素で決まります。
- 素材のグレード
- 施工範囲
- 物件の状態
まず素材のグレードです。無垢材や天然石、左官仕上げは単価が上がります。
次に施工範囲で、造作家具やカウンター、坪庭などが増えるほど費用は膨らみます。
そして物件の状態です。スケルトン物件は内装をゼロからつくるため割高になりやすく、居抜きなら既存設備を活かして抑えられます。
スケルトンの費用感はスケルトン物件の内装工事費用で詳しく解説しています。
費用を抑えるコツ
費用を抑えるには、和の素材を「見せ場」に集中させるのが効果的です。
全面を天然素材で仕上げるのではなく、正面の壁やカウンター、照明など印象に残る箇所に予算を配分し、それ以外は既存を活かします。
複数社から見積もりを取り、内訳を比較することで、過剰なコストを見つけやすくなります。
和モダン内装で失敗しない注意点と業者選び

せっかくの和モダン内装で後悔しないために、陥りやすい失敗と業者選びのコツを押さえておきましょう。
和と洋のバランスを崩さない
もっとも起こりやすい失敗が、和と洋のどちらかに寄りすぎることです。
和に振りすぎると「ただの和室」に、洋に振りすぎると和の温かみが失われます。
色味も同様で、シックにまとめすぎると冷たい印象になりがちです。
ベースの落ち着きに、素材や差し色で温かみを加える意識を持つと、和モダンらしい心地よさを保てます。
収益性を軽視しない
デザイン性だけを優先すると、収益性を損なうおそれがあります。
席間を広く取れば上質感は出ますが、席数が減って売上に影響します。
回遊しにくいレイアウトは配膳効率を下げ、人件費の負担にもつながります。
客単価・回転率・席数のバランスを踏まえて設計することが、長く続く店づくりには欠かせません。
実績のある業者を複数社で比較する
和モダンは素材やディテールの積み重ねで印象が決まるため、施工実績のある業者を選ぶことが重要です。
デザイン力だけでなく、席数や動線など店舗運営まで理解した提案ができるかを確認しましょう。
判断に迷ったら、1社に絞らず複数社から見積もりと提案を取り、費用・デザイン・実績を見比べるのが確実です。
相見積もりは適正価格の把握にもつながります。
和モダンな飲食店内装のよくある質問

最後に、和モダンな飲食店内装について寄せられやすい疑問を、Q&A形式でまとめました。
計画前の確認にお役立てください。
Q
和モダンと和風の違いは何ですか?
A
和風が伝統的な意匠を重厚に用いるのに対し、和モダンは伝統素材を活かしつつ、直線的でミニマルな現代的デザインを取り入れる点が違いです。要素を絞ることで、古臭くならず洗練された印象になります。
Q
和モダンな飲食店内装の費用相場はいくらですか?
A
坪単価30〜100万円程度が目安です。居酒屋やカジュアル和食は抑えめ、割烹や料亭など素材・造作にこだわる業態は高くなる傾向があります。スケルトンか居抜きかによっても大きく変わります。
Q
狭い店舗でも和モダンな内装にできますか?
A
可能です。狭小店舗では素材を絞り、カウンターや正面の壁など見せ場に和の要素を集中させると効果的です。格子や間仕切りで視線を調整すれば、狭さを感じさせない設計ができます。
Q
和モダンはどんな業態に向いていますか?
A
和食店・寿司店・割烹・料亭・居酒屋・和カフェなど、幅広い業態に向いています。フレンチやイタリアンと組み合わせる店でも、落ち着いた雰囲気づくりに活用できます。
Q
居抜き物件でも和モダンな内装は可能ですか?
A
可能です。既存の設備や壁を活かしつつ、木材・和紙・照明などを加えるだけでも和モダンな雰囲気に寄せられます。ゼロからつくるスケルトンより費用を抑えやすい点もメリットです。
和モダンな飲食店内装づくりのまとめ
ここまで、和モダンな飲食店内装のポイントを解説してきました。
最後に要点を振り返りますので、ぜひ店づくりの参考にしてください。
- 和モダンは和の素材・意匠と現代的な設計を融合させたスタイル
- 素材・配色・照明・家具・席構成・外観・コンセプトの7点を押さえる
- 業態に合わせて上質感か入りやすさかを調整する
- 費用は坪単価30〜100万円が目安で、物件状態により変動する
- 複数社の比較で費用とデザインの納得度を高める
和モダンは、素材と設計のバランス次第で印象が大きく変わるデザインです。
コンセプトを軸に、費用と実績を見比べながら、自店に合った空間づくりを進めていきましょう。
和食店・居酒屋・寿司・和カフェなど、業態に応じた最適解を見つけることが、集客とブランドづくりの両立につながります。