スケルトン物件で店舗やオフィスを開業したいけれど、「内装工事にいくらかかるのか見当がつかない」と不安を感じていませんか?

スケルトン物件の内装工事費用は、坪単価30万〜80万円が一般的な相場です。ただし業種や物件の状態、設備のグレードによって大きく変動し、飲食店では坪単価50万円を超えるケースも珍しくありません。

この記事では、スケルトン物件の内装工事費用を業種別・坪数別に徹底解説します。費用の内訳から居抜き物件との比較、工事以外にかかる初期費用、費用を抑えるコツまで、開業前の資金計画に必要な情報をまとめました。

目次

スケルトン物件とは?内装工事が必要な理由

スケルトン物件とは?内装工事が必要な理由

スケルトン物件は自由な内装設計ができる反面、すべてをゼロから作るため内装工事費用が高額になりやすいのが特徴です。費用の全体像を把握してから物件選びに進みましょう。

スケルトン物件の特徴とメリット・デメリット

スケルトン物件とは、建物の構造体(コンクリート・鉄骨など)だけが残り、壁・床・天井・設備がすべて撤去された状態の物件です。「骸骨(skeleton)」のように骨組みだけになっていることから、この名称がつけられています。

スケルトン物件の最大のメリットは、間取り・内装デザイン・設備配置をゼロから自由に設計できる点です。店舗コンセプトに合わせた空間づくりができるため、ブランディングを重視する飲食店や美容室で多く選ばれています。

一方で、電気・給排水・空調などの設備工事からすべて必要になるため、工事費用は居抜き物件の1.5〜2倍以上になることが一般的です。工事期間も1〜3ヶ月と長くなりやすく、その間の家賃負担も考慮する必要があります。

スケルトン物件の基本的な特徴やメリット・デメリットについて詳しくは、「スケルトン物件とは?メリット・デメリットと失敗しないためのポイントを解説」もあわせてご覧ください。

居抜き物件との違いを比較表で解説

物件選びでは、スケルトン物件と居抜き物件の違いを正しく理解しておくことが大切です。以下の比較表で主な違いを確認しましょう。

比較項目スケルトン物件居抜き物件
内装の状態骨組みのみ(何もない状態)前テナントの内装・設備が残存
内装工事費用の目安坪単価30万〜80万円坪単価15万〜50万円
デザインの自由度非常に高い制限あり
工事期間1〜3ヶ月2週間〜1ヶ月
原状回復義務退去時にスケルトン戻しが必要な場合が多い契約内容による
設備トラブルのリスク新品のため低い老朽化による故障リスクあり

居抜き物件は初期費用を抑えやすい反面、前テナントの設備が老朽化していたり、自分の業態に合わないレイアウトだったりすると、結局大幅な改修が必要になるケースもあります。費用だけでなく「やりたい店舗のイメージに合うか」を基準に選ぶことが重要です。

両者の違いについてさらに詳しく知りたい方は、「居抜きとスケルトンの違いとは?費用や工期から選び方のポイントを解説」をご確認ください。

【坪数別】スケルトン物件の内装工事費用の相場

【坪数別】スケルトン物件の内装工事費用の相場

スケルトン物件の内装工事費用は、坪単価30万〜80万円が目安。20坪の飲食店なら600万〜1,600万円が相場です。業種や設備のグレードで大きく変動するため、早めに複数社から見積もりを取りましょう。

坪単価は30万〜80万円が目安

スケルトン物件の内装工事費用は、一般的に坪単価30万〜80万円が相場とされています。この金額には、壁・床・天井の仕上げ工事に加え、電気・給排水・空調などの設備工事も含まれるケースが一般的です。

ただし、坪単価はあくまで目安であり、以下のような条件で大幅に変動します。

  • 飲食店など厨房設備が必要な業種は坪単価50万〜100万円超になることも
  • オフィスや物販店は設備がシンプルなため、坪単価20万〜40万円で収まるケースもある
  • デザインにこだわるほど、素材費・造作費が上乗せされる

また、近年は資材価格や人件費の高騰により、以前よりも相場が1〜2割ほど上昇傾向にある点も押さえておきましょう。

坪数別の費用シミュレーション(10坪・20坪・30坪)

坪数ごとの内装工事費用の目安を、業態別にまとめました。物件選びや資金計画の参考にしてください。

坪数飲食店(坪50万〜80万円)美容室(坪40万〜70万円)オフィス(坪20万〜40万円)
10坪500万〜800万円400万〜700万円200万〜400万円
20坪1,000万〜1,600万円800万〜1,400万円400万〜800万円
30坪1,500万〜2,400万円1,200万〜2,100万円600万〜1,200万円

一般的に、坪数が小さいほど坪単価は高くなる傾向があります。10坪の小規模店舗でも設備工事の基本費用は変わらないため、面積が狭い分だけ坪あたりの単価が割高になるのです。

居抜き物件との費用差を具体的な金額で比較

同じ20坪の飲食店を開業する場合、スケルトン物件と居抜き物件でどれくらい費用差が出るのかを比較してみましょう。

費用項目スケルトン物件(20坪)居抜き物件(20坪)
内装工事費1,000万〜1,600万円300万〜800万円
厨房設備費200万〜500万円(新規導入)0〜200万円(一部入替)
造作譲渡費なし50万〜300万円
工事期間中の家賃2〜3ヶ月分0.5〜1ヶ月分
合計の目安1,200万〜2,100万円350万〜1,300万円

費用差はおよそ2〜3倍になることもあります。ただし、居抜き物件では設備の老朽化による修繕費や、レイアウト変更のための追加工事が発生するリスクもあるため、表面的な金額だけで判断せず、トータルコストで比較することが大切です。

【業種別】内装工事費用と坪単価

【業種別】内装工事費用と坪単価

内装工事費用は業種によって大きく異なります。厨房設備が必要な飲食店は高額になりやすく、設備がシンプルなオフィスや物販店は比較的抑えられます。

飲食店(カフェ・居酒屋・ラーメン・焼肉・バー等)

飲食店のスケルトン内装工事は、坪単価50万〜100万円が相場です。厨房設備・給排水・換気ダクト・グリストラップなど、他の業種にはない専門設備が必要になるため、全業種の中で最も高額になりやすい傾向があります。

さらに同じ飲食店でも、業態によって費用は大きく変わります。

飲食店の業態10坪の費用目安費用が変動する主な要因
カフェ150万〜350万円程度ドリンク中心なら厨房がコンパクトで済む
バー150万〜350万円程度カウンター造作のグレードで差が出る
居酒屋300万〜600万円程度座席数・個室の有無で工事範囲が変わる
レストラン400万〜700万円程度本格的な厨房設備と内装デザインが必要
ラーメン店350万〜600万円程度厨房内の空調設備・排煙対策で費用増
キャバクラ400万〜800万円程度照明演出・VIP個室・音響設備で費用増
スナック200万〜450万円程度カウンター中心のため比較的コンパクト

特に焼肉店はテーブルごとに排気設備が必要になるため、他の飲食業態と比べて坪単価が1.5倍以上になることも珍しくありません。開業する業態が決まったら、早めに専門業者へ概算見積もりを依頼しましょう。

特に焼肉店はテーブルごとに排気設備が必要になるため、他の飲食業態と比べて坪単価が1.5倍以上になることも珍しくありません。開業する業態が決まったら、早めに専門業者へ概算見積もりを依頼しましょう。

美容室・サロン

美容室やエステサロンのスケルトン内装工事は、坪単価40万〜70万円が相場です。シャンプー台の設置にともなう給排水工事や、ドライヤー・パーマ機などの電気設備工事が費用を押し上げる主な要因です。

10坪程度の個人サロンであれば400万〜700万円が目安ですが、デザイン性にこだわるとさらに高額になります。一方で、ネイルサロンのように水回り設備が少ない業態であれば、坪単価を抑えることが可能です。

オフィス・事務所

オフィスや事務所のスケルトン内装工事は、坪単価20万〜40万円と他の業種に比べて低めです。特別な設備工事が少なく、壁・床・天井の仕上げとパーテーション工事、電気配線・LAN配線が主な工事内容となります。

20坪のオフィスであれば400万〜800万円が目安。ただし、OAフロア(二重床)の導入やサーバールームの設置など、IT環境の要件によっては費用が上振れすることもあります。シンプルな仕上げであれば100万〜200万円程度で済むケースもあるため、必要な設備を明確にした上で見積もりを取ることが大切です。

物販・アパレル

アパレルショップや雑貨店などの物販店は、坪単価20万〜40万円が相場です。水回りや厨房設備が不要なため、飲食店や美容室と比べて大幅に費用を抑えられます。

費用の中心は什器・ディスプレイ棚・照明の造作費用です。ブランドイメージを表現するために什器をオリジナルで製作する場合は、その分費用が上乗せされます。バックヤードや従業員スペースはコストを抑え、お客様の目に触れる売場にメリハリをつけて予算配分するのがポイントです。

内装工事費用の内訳を項目別に解説

内装工事費用の内訳を項目別に解説

「坪単価」だけでは工事の中身が見えません。内訳を項目別に理解しておくことで、見積もりの妥当性を判断できるようになります。

スケルトン物件の内装工事費用は、大きく以下の5つの項目に分けられます。ここでは20坪の飲食店を想定した費用イメージとあわせて解説します。

仮設・解体工事

工事前の養生(壁や床を保護するシート張り)や、搬入経路の確保、仮設電気・仮設水道の設置にかかる費用です。ビルの共用部分の養生やエレベーター保護が必要な場合は追加費用が発生します。

20坪の飲食店であれば30万〜80万円程度が目安です。高層階の物件やエレベーターが使えない物件では、搬出入に手間がかかるため費用が上がります。

電気・給排水・ガス・空調の設備工事

スケルトン物件の内装工事費用の中で最も金額が大きくなりやすいのが設備工事です。電気配線の新設、給排水管の配管、ガス工事、エアコン・換気設備の設置などが含まれます。

20坪の飲食店では300万〜600万円程度かかることも珍しくありません。特に飲食店はグリストラップ(油脂分離装置)の設置や排気ダクトの工事が必須で、これだけで100万円以上かかるケースがあります。また、電気容量が足りない場合は電力会社への増設申請も必要です。

壁・床・天井の仕上げ工事

壁紙の施工、床材の張り替え、天井の造作や塗装など、空間の見た目を仕上げる工事です。素材の選び方で費用が大きく変わります。

たとえば床材ひとつとっても、塩ビタイルなら坪あたり数千円で済むところ、無垢材フローリングでは数万円になることも。20坪の飲食店で150万〜350万円程度が目安です。お客様の目に触れない部分には安価な素材を使うなど、メリハリのある素材選びがコスト管理のカギとなります。

厨房設備・什器・家具

飲食店であれば冷蔵庫・コンロ・シンク・食洗機などの厨房機器、美容室であればセット椅子・シャンプー台、物販店であればディスプレイ什器・レジカウンターなどがこの項目に含まれます。

厨房設備は新品で揃えると200万〜500万円かかることもありますが、中古品やリースを活用すれば大幅にコストダウンが可能です。業務用中古機器の専門店を活用するのも有効な選択肢です。

デザイン設計費・施工管理費

内装デザインの設計料は、工事費の10〜15%程度が相場です。20坪・工事費1,000万円の店舗であれば100万〜150万円が目安となります。

なお、設計と施工を別々の会社に依頼する「分離発注」と、一括で依頼する「設計施工一括」では費用感が異なります。一括のほうが中間マージンが省ける分、トータルコストを抑えやすい傾向がありますが、デザインの自由度やこだわりを重視する場合は分離発注のほうが適していることもあります。

内装工事費用が変動する5つの要因

内装工事費用が変動する5つの要因

「相場どおり」にはならないことが多いのがスケルトン物件の内装工事。以下の5つの要因を事前に把握しておくことで、想定外の費用増を防げます。

素材・設備のグレード

内装工事費用に最も大きく影響するのが素材と設備のグレードです。床材を塩ビタイルから無垢材フローリングに変えるだけで坪単価は数万円単位で上がりますし、空調設備を家庭用から業務用に切り替えれば数十万円の差が出ます。

「こだわりたい部分」と「標準仕様で十分な部分」を最初に明確にしておくことが、予算オーバーを防ぐ第一歩です。

物件の築年数と状態

築年数が古い物件では、配管の劣化や電気容量の不足、耐震補強の必要性など、想定外の追加工事が発生するリスクが高まります。内見の段階で、給排水管の状態や電気容量(アンペア数)を確認しておくことが重要です。

物件契約前に施工業者と一緒に内見し、追加工事の可能性をチェックしてもらうのが理想的です。

立地・搬入条件(階数・エレベーター有無)

物件が2階以上にある場合や、エレベーターが使えない場合は資材の搬入・搬出に手間と時間がかかるため、運搬費が上乗せされます。繁華街や駅近の物件では、騒音規制や近隣対策のために夜間工事が指定されるケースもあり、割増賃金の分だけ人件費が増加します。

店舗のレイアウト・動線設計

飲食店の場合、厨房とホールの比率やテーブル配置によって配管・配線ルートが変わるため、レイアウト次第で費用が変動します。水回りの位置を大きく移動させる場合は、排水勾配の確保や床のかさ上げが必要になり、コストアップの要因になります。

設計段階で業者と綿密に打ち合わせ、レイアウトの微調整でコストを抑えられる箇所がないか相談しましょう。

工事時期・資材高騰の影響

内装工事業界にも繁忙期があり、年度末(1〜3月)や年末は工事依頼が集中するため、費用が高くなりやすい傾向があります。スケジュールに余裕がある場合は、閑散期を狙って発注すると費用を抑えられる可能性があります。

また、近年は建築資材や人件費の高騰が続いており、数年前の相場感が通用しなくなっています。見積もりは必ず最新の相場で取りましょう。

内装工事以外にかかる初期費用

内装工事以外にかかる初期費用

スケルトン物件で開業する場合、内装工事費用だけでなく物件契約にかかる費用や運転資金も大きな出費になります。トータルの初期費用を把握しておきましょう。

保証金(敷金)・礼金・前家賃

テナント物件の賃貸契約では、家賃以外に以下の費用がかかります。

  • 保証金(敷金):家賃の6〜10ヶ月分が相場。飲食店など設備が多い業種ほど高く設定される傾向があります
  • 礼金:家賃の1〜2ヶ月分
  • 前家賃:契約月と翌月分の家賃を前払い

たとえば家賃30万円の物件であれば、保証金だけで180万〜300万円が必要になる計算です。内装工事費用と合わせると相当な金額になるため、資金計画は余裕を持って立てましょう。

設計デザイン料・各種届出費用

設計料が工事費に含まれていない場合、別途費用が発生します。また、飲食店の開業では保健所への営業許可申請、消防署への届出なども必要で、それぞれ手数料がかかります。

これらの申請費用は1件あたり1万〜5万円程度と大きな金額ではありませんが、業種によっては複数の届出が必要になるため、事前にリストアップしておくと安心です。

運転資金・開業後の予備費

開業直後は売上が安定しないため、最低でも3〜6ヶ月分の固定費(家賃・人件費・光熱費)を運転資金として確保しておくことが推奨されます。

内装工事費用の見積もりだけでなく、保証金・運転資金・予備費まで含めたトータルの開業資金を算出した上で、資金調達の方法を検討しましょう。

スケルトン物件の内装工事費用を抑える7つのコツ

スケルトン物件の内装工事費用を抑える7つのコツ

スケルトン物件の内装工事は高額になりがちですが、工夫次第で数十万〜数百万円単位のコストダウンが可能です。以下の7つのコツを押さえましょう。

複数社から相見積もりを取る

内装工事費用は業者によって数十万〜数百万円の差が出ることがあります。最低でも3社以上から見積もりを取り、金額だけでなく工事内容・施工実績・アフターフォローの充実度も比較しましょう。

見積もり依頼の際は、各社に同じ条件(図面・希望仕様・工期)を提示することで、正確な比較が可能になります。

こだわる部分とコストを抑える部分を明確にする

すべてにこだわると予算はあっという間に膨らみます。お客様の目に触れるエリア(エントランス・客席・カウンター)にはしっかり予算をかけ、バックヤードやスタッフ動線は標準的な仕上げにするなど、メリハリをつけましょう。

素材のグレードを工夫する

見た目の印象を大きく変えずにコストを下げる方法として、見た目が似ている低コスト素材への置き換えがあります。たとえば、無垢材風のフロアタイルやコンクリート打ちっぱなし風の壁紙を使えば、雰囲気を保ちながら費用を抑えられます。

設計と施工を一括で依頼する

設計事務所と施工業者を別々に手配する「分離発注」に比べ、設計施工一括のほうが中間コストが省けるため、費用を10〜15%程度抑えられることがあります。ただし、デザインへのこだわりが強い場合は、設計を専門のデザイナーに依頼するほうが理想に近い仕上がりになることもあります。

居抜き設備の再利用を検討する

完全なスケルトン状態でなくても、前テナントの設備の一部を引き継げる場合があります。特にエアコンやトイレ、一部の給排水設備などは、状態が良ければそのまま再利用することで数十万円のコストダウンが可能です。物件契約前にオーナーに相談してみましょう。

DIYできる部分はセルフで仕上げる

壁の塗装やちょっとした装飾、棚の取り付けなど、技術的に難しくない作業は自分で行うことで人件費を節約できます。ただし、電気工事・ガス工事・給排水工事は資格が必要な専門工事なので、必ずプロに依頼してください。

補助金・助成金を活用する

店舗の開業や改装に使える補助金制度を活用すれば、内装工事費用の負担を軽減できます。代表的な制度として「小規模事業者持続化補助金」があり、販路開拓を目的とした店舗改装費用の一部が補助対象となります。

制度名補助上限額補助率対象
小規模事業者持続化補助金(通常枠)50万円
(特例活用で最大250万円)
2/3従業員5人以下(商業・サービス業)の
小規模事業者
小規模事業者持続化補助金(創業型)200万円
(特例活用で最大250万円)
2/3創業1年以内の小規模事業者
中小企業新事業進出補助金事業規模による1/2〜2/3新分野への事業進出を行う中小企業

参考元:中小企業庁「小規模事業者持続化補助金について
参考元:中小企業基盤整備機構「中小企業 新事業進出補助金

補助金は後払い(先に自己資金で工事費を支払い、後から補助金を受け取る仕組み)のため、資金繰りの計画には注意が必要です。申請には経営計画書の作成が必要で、地域の商工会議所や商工会に相談しながら進めることをおすすめします。

スケルトン物件の内装工事で失敗しないための注意点

スケルトン物件の内装工事で失敗しないための注意点

スケルトン物件の内装工事は金額が大きいだけに、トラブルが起きると損失も大きくなります。以下のポイントを事前に押さえておきましょう。

見積もり「一式」表示のリスクと確認ポイント

見積書に「内装工事一式 ○○万円」とだけ書かれている場合は要注意です。内訳が不明確な見積もりは、何が含まれていて何が含まれていないかが分からないため、工事が始まってから「この工事は別料金です」と追加費用を請求されるリスクがあります。

見積もりは必ず「材料費」「施工費」「諸経費」の内訳が明記されたものを出してもらい、不明な項目があれば契約前に確認しましょう。

追加工事・追加費用の発生を防ぐ方法

スケルトン物件の工事では、着工後に想定外の事態が発覚して追加費用が発生するケースが少なくありません。特に配管の老朽化・電気容量の不足・アスベストの存在は、事前調査で見落としやすいポイントです。

追加費用を防ぐためには、契約前に施工業者と一緒に現地調査を行い、追加工事が発生する可能性とその場合の費用目安を書面で確認しておくことが有効です。

保健所・消防署への事前確認を忘れない

飲食店の開業には保健所の営業許可が必要で、シンクのサイズや手洗い場の数など細かい設備基準が定められています。これらの基準を知らずに施工してしまうと、工事のやり直しが発生し、余計な費用と時間がかかります。

設計段階で保健所と消防署に事前相談し、必要な基準を確認してから工事に入ることが鉄則です。

原状回復義務を契約前に確認する

スケルトン物件の多くは、退去時にスケルトン状態に戻す「原状回復義務」が契約条件に含まれています。原状回復工事(スケルトン戻し)の費用は坪単価3万〜10万円が相場で、20坪の物件なら60万〜200万円程度がかかります。

入居時に原状回復の範囲や条件を明確にしておかないと、退去時にオーナーとの間でトラブルになることがあります。賃貸借契約書の原状回復条項は必ず確認しましょう。

業者選びで見るべき3つのポイント

内装工事業者を選ぶ際は、以下の3つのポイントを重視しましょう。

  • 同業種の施工実績が豊富か:飲食店なら飲食店、美容室なら美容室の施工実績を確認。業種特有の設備や法規制に精通しているかが重要です
  • 見積もりの内訳が明確か:「一式」ではなく項目ごとに金額が明記されている業者を選びましょう
  • アフターフォロー・保証の有無:工事完了後の不具合対応や保証期間の有無を事前に確認。開業後の設備トラブルへの対応力も業者選びの重要な基準です

安さだけで業者を選ぶと、仕上がりの品質やアフターケアで後悔することがあります。価格・実績・対応力のバランスで判断しましょう。

工事の流れとスケジュールの目安

スケルトン物件の内装工事は、物件契約から開業まで2〜4ヶ月程度を見込んでおくのが一般的です。大まかな流れは以下のとおりです。

ステップ内容期間の目安
①物件契約・設計打ち合わせレイアウト確定、見積もり比較、業者決定2〜4週間
②各種届出・申請保健所・消防署への事前相談、申請手続き1〜2週間
③内装工事解体→設備工事→仕上げ工事→設備搬入4〜8週間
④検査・引き渡し保健所検査、消防検査、最終確認1〜2週間
⑤開業準備什器搬入、スタッフ研修、プレオープン1〜2週間

工事期間中も家賃の支払いが発生するため、スケジュールが延びるほど空家賃の負担が増えます。開業日から逆算して、最低でも1〜2週間の余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

スケルトン物件の内装工事費用に関するよくある質問

スケルトン物件の内装工事費用に関するよくある質問

スケルトン物件の内装工事費用について、お客様からよくいただくご質問をまとめました。物件選びや資金計画の参考にしてください。

Q

スケルトン物件の内装工事にはどれくらいの期間がかかりますか?

A

物件の規模や業種にもよりますが、設計打ち合わせから完工まで2〜4ヶ月が目安です。飲食店は厨房設備や保健所検査の対応があるため、美容室やオフィスよりも長くなる傾向があります。工事期間中の家賃負担も考慮し、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

Q

スケルトン物件と居抜き物件、どちらがおすすめですか?

A

店舗コンセプトに強いこだわりがあるならスケルトン物件、初期費用を抑えたいなら居抜き物件がおすすめです。ただし、居抜き物件でも前テナントの業態が異なる場合は大幅な改修が必要になることがあるため、トータルコストで比較して判断しましょう。

Q

内装工事の見積もりはいつ・何社に取ればよいですか?

A

物件契約前の段階で3社以上から概算見積もりを取るのが理想です。契約前であっても図面や希望条件を伝えれば概算を出してもらえる業者は多いため、早めに相談を始めましょう。物件契約後に見積もりが予算を大幅に超えていることが判明するのは避けたいところです。

Q

スケルトン物件の内装工事費用に含まれないものは?

A

一般的に、以下の費用は内装工事費用に含まれないことが多いため、別途予算を確保しておきましょう。保証金・礼金・前家賃などの物件取得費、厨房機器・什器・家具の購入費、看板・外装の工事費、各種届出・申請の手数料、運転資金(開業後3〜6ヶ月分)などです。

Q

内装工事費用を融資や補助金で賄うことはできますか?

A

はい、可能です。融資であれば日本政策金融公庫の「新創業融資制度」が代表的で、無担保・無保証人で最大3,000万円まで借りられます。補助金であれば「小規模事業者持続化補助金」が店舗改装費用の一部を補助してくれる制度として知られています。ただし補助金は後払いのため、工事費用は一旦自己資金で支払う必要がある点に注意しましょう。

まとめ

スケルトン物件の内装工事費用は坪単価30万〜80万円が相場で、飲食店・美容室・オフィスなど業種によって大きく変動します。特に飲食店は厨房・換気・給排水の設備工事が加わるため高額になりやすく、20坪で1,000万〜1,600万円が目安です。

費用を適正に抑えるためには、複数社からの相見積もり・素材のメリハリ・補助金の活用が有効です。また、内装工事費用だけでなく保証金や運転資金まで含めたトータルの開業資金を把握し、余裕を持った資金計画を立てましょう。