「飲食店を改装したいけれど、内装工事にいくらかかるのか見当がつかない」「予算内で理想の店舗にできるか不安」と悩んでいませんか。

結論として、飲食店の改装費用は既存設備を活かせば坪単価15〜30万円が目安です。

ただし、厨房の位置を変えるなど設備に手を加えると、費用は大きく跳ね上がります。

本記事では、業態別・坪数別の費用目安から、内装工事費用の内訳、改装費用を抑える5つのコツ、活用できる補助金、工事の流れまでをまとめて解説します。

飲食店の改装費用は坪単価15〜30万円が目安

飲食店の改装費用は坪単価15〜30万円が目安

まずは、飲食店の改装費用の相場から確認していきましょう。

ポイントは「既存の設備をどこまで活かすか」で坪単価が大きく変わることです。

既存設備を活かせば坪15〜30万円

厨房・給排気・空調などの設備をそのまま使い、内装の仕上げを中心に手を入れる改装であれば、坪単価15〜30万円程度が目安です。

この単価に収まるのは、あくまで既存設備を活かすことが前提です。

クロスや床材の張り替え、照明の変更、客席の模様替えといった工事が中心であれば、費用を抑えながら店舗の印象を大きく変えられます。

設備に手を加えると費用が跳ね上がる

注意したいのが、厨房や水回りの位置を変えると、改装でも費用が一気に跳ね上がることです。

厨房には防水工事が施されており、区画の変更には解体・防水・配管のやり直しが伴うためです。

設備に大きく手を加える改装は、結果としてスケルトンからの工事と変わらない費用になるケースも珍しくありません。

見積もりを取る前に、どの設備を残してどこを変えるのかを整理しておきましょう。

スケルトンからの工事は坪30〜60万円

比較の目安として、内装を解体した骨組みだけの状態から店舗を作る場合の坪単価は30〜60万円程度です。

電気・ガス・水道・空調・給排気といった設備工事をゼロから行うため、既存設備を活かす改装より高くなります。

裏を返せば、既存設備をどれだけ活かせるかが改装費用の分かれ目ということです。

スケルトン状態からの工事費用について詳しくは、スケルトン物件の内装工事費用の記事で解説しています。

業態・坪数別に見る内装工事費用の目安

業態・坪数別に見る内装工事費用の目安

坪単価の考え方がわかったところで、次は業態別・坪数別の目安を見ていきましょう。

自店の条件に近い数字から、おおよその予算感をつかめます。

カフェ・居酒屋など業態別の坪単価

同じ飲食店でも、必要な厨房設備や内装のグレードは業態ごとに異なるため、坪単価にも差が出ます。

業態別の目安は以下のとおりです。

業態坪単価の目安特徴
カフェ30〜60万円厨房設備が少なく比較的安い
居酒屋・バー30〜60万円客席の造作次第で変動
ラーメン店・焼肉店40〜80万円給排気・ダクト工事が高額
レストラン50〜100万円厨房設備と内装グレードが高い

火力の強い調理や煙の出る業態ほど、給排気設備の工事費がかさむ傾向にあります。

10坪・15坪・20坪の費用シミュレーション

費用の総額は「坪数×坪単価」でおおよそ計算できます。

広さ別の目安を、既存設備を活かす改装とスケルトンからの工事それぞれでまとめました。

店舗の広さ改装(坪15〜30万円)スケルトンからの工事(坪30〜60万円)
10坪150〜300万円300〜600万円
15坪225〜450万円450〜900万円
20坪300〜600万円600〜1,200万円

なお、小さい店舗ほど坪単価は割高になりやすい点に注意が必要です。

電気・ガス・水道など最低限必要な設備工事は、店舗の広さにかかわらずほぼ一定の費用がかかるためです。

上記に厨房機器代は含まれないため、別途予算を確保しておきましょう。

飲食店の内装工事費用の内訳

飲食店の内装工事費用の内訳

見積もりを正しく比較するには、費用の内訳を理解しておくことが欠かせません。

ここでは、内装工事費用を構成する3つの要素をそれぞれ解説します。

床・壁・天井など内装仕上げ工事の費用

内装仕上げ工事とは、床材やクロスの張り替え、天井・壁の造作、塗装などの工事を指します。

お客様の目に直接触れる部分のため、店舗の印象を大きく左右するのが特徴です。

費用は選ぶ素材のグレードによって数倍の差が出ます。

たとえば同じ床でも、塩ビタイルと無垢材では材料費・施工費ともに大きく異なります。

予算が限られる場合は、客席から見える部分に費用を集中させるのが効果的です。

電気・ガス・給排気など設備工事の費用

電気・ガス・水道・空調・給排気といった設備工事は、内装工事費用全体の約半分を占めるといわれる大きな項目です。

とくに飲食店は使用する火力や水量が多く、住宅や事務所より工事の規模が大きくなります。

注意したいのが、物件の電気容量やガス容量が業態に対して不足しているケースです。

容量を増やす追加工事が発生すると費用が一気に膨らむため、契約前に不動産会社や大家へ設備容量を確認しておきましょう。

厨房機器・家具にかかる費用

冷蔵庫やコンロなどの厨房機器、テーブル・椅子・カウンターなどの家具は、内装工事費とは別に予算を組むのが一般的です。

業態にもよりますが、数十万〜数百万円単位の出費になります。

厨房機器は中古品やリースを活用すれば初期費用を抑えられます。

また、店の顔となるカウンターは仕様によって費用が大きく変わるため、飲食店のカウンター費用の記事も参考にしてください。

飲食店の改装費用を抑える5つのコツ

飲食店の改装費用を抑える5つのコツ

同じ仕上がりでも、進め方次第で改装費用は大きく変わります。

ここでは、飲食店の改装費用を抑える5つの節約のコツを紹介します。

ポイント
  1. 厨房や水回りの位置を変えない
  2. 居抜きの設備・内装を活かす
  3. 工事範囲に優先順位をつける
  4. 素材のグレードにメリハリをつける
  5. 複数社の相見積もりで比較する

厨房や水回りの位置を変えない

改装費用を抑えるうえで最も効果が大きいのが、前述のとおり厨房や水回りの位置を動かさないことです。

坪単価15〜30万円で収まる改装は、既存設備を活かすことが大前提です。

レイアウトを検討する際は、まず厨房の位置を固定したうえで客席側の変更を考えましょう。

動線に課題がある場合も、厨房そのものを動かすのではなく、カウンターや客席の配置でカバーできないかを先に検討するのがおすすめです。

居抜きの設備・内装を活かす

前のテナントが飲食店だった居抜き物件では、厨房設備・空調・給排気ダクトなどを再利用できるため、初期費用を大幅に抑えられます。

使える設備が多いほど、工事は仕上げ中心で済みます。

ただし、設備の劣化状況によっては修繕費がかかる場合もあるため、内見時に設備の動作確認を行うことが大切です。

物件選びの段階から比較したい方は、居抜きとスケルトンの違いの記事もあわせてご覧ください。

工事範囲に優先順位をつける

限られた予算で効果を出すには、改装の目的を明確にして工事範囲を絞り込むことが重要です。

「客席の雰囲気を刷新したい」「厨房の動線を改善したい」など、目的によって優先すべき工事は変わります。

すべてを一度にやろうとせず、売上への影響が大きい箇所から段階的に改装するのも有効な方法です。

優先順位を業者に伝えれば、予算内での最適なプランを提案してもらいやすくなります。

素材のグレードにメリハリをつける

内装材は、お客様の目に触れる場所と触れない場所でグレードを使い分けると、見た目の質感を保ちながらコストを削減できます。

たとえば、入口やカウンター周りには質感の高い素材を使い、バックヤードや厨房内は機能性重視の安価な素材にする方法です。

照明の工夫次第で標準的な素材でも高級感を演出できるため、デザイナーや施工業者に演出方法を相談してみましょう。

複数社の相見積もりで比較する

内装工事の見積もりは業者によって数十万〜数百万円の差が出ることも珍しくありません。

適正価格を見極めるためにも、最低2〜3社から相見積もりを取って比較することをおすすめします。

比較する際は総額だけでなく、工事項目ごとの単価や「一式」表記の内容まで確認しましょう。

極端に安い見積もりは、後から追加費用を請求されるリスクもあるため注意が必要です。

飲食店の改装に使える補助金・助成金

飲食店の改装に使える補助金・助成金

改装費用の負担を軽くする手段として、補助金・助成金の活用も検討しましょう。

ここでは、飲食店の改装で使える可能性のある代表的な制度を3つ紹介します。

飲食店の改装に使える3つの補助金・助成金
  1. 小規模事業者持続化補助金
  2. 業務改善助成金
  3. 自治体独自の店舗改装助成

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際の費用の一部を補助する制度です。

集客力向上を目的とした店舗改装が対象経費として認められる場合があります。

補助上限額は申請枠によって異なり、通常枠でおおむね50万円、特別枠では200万円程度まで拡大されるケースがあります。

申請には経営計画書の作成が必要なため、商工会・商工会議所へ早めに相談しましょう。

業務改善助成金

業務改善助成金は、事業場内の最低賃金を引き上げるとともに、生産性向上のための設備投資を行った場合に費用の一部が助成される制度です。

厨房設備の入れ替えや動線改善を伴う改装が対象になる可能性があります。

賃上げが要件になっている点が特徴で、助成上限額は賃金の引き上げ額や対象労働者数によって変わります。

従業員を雇用している店舗であれば、検討する価値のある制度です。

自治体独自の店舗改装助成

国の制度のほかに、市区町村が独自に店舗の改装・リニューアル費用を助成しているケースもあります。

商店街の活性化や空き店舗対策を目的とした制度が代表的です。

助成率や上限額は自治体によって大きく異なり、工事着工前の申請が条件となっている場合がほとんどです。

改装を決めたら、まず店舗所在地の自治体窓口や公式サイトで制度の有無を確認しましょう。

飲食店の改装工事の流れとスケジュール

飲食店の改装工事の流れとスケジュール

改装をスムーズに進めるには、全体の流れと所要期間をあらかじめ把握しておくことが大切です。

ここでは、計画から引き渡しまでのステップを順に見ていきましょう。

改装工事の流れとスケジュール

課題整理→業者選定→見積もり比較→契約→着工の順

現状の課題整理とコンセプト設計

改装の第一歩は、現状の課題を客観的に洗い出すことです。

回転率や客単価などの売上指標、スタッフの動線、設備の劣化状況などを整理し、改装で何を解決したいのかを明確にします。

あわせて、ターゲット層と店舗コンセプトを再設定しておくと、デザインの方向性がぶれません。

「ランチ利用の30代女性」のように具体的に設定するのがポイントです。

業者選定・見積もり比較・契約

コンセプトが固まったら、飲食店の施工実績が豊富な内装業者を探し、現地調査と見積もりを依頼します。

前述のとおり、複数社の見積もりを比較したうえで依頼先を決めるのが失敗しないコツです。

契約前には、工事範囲・金額・工期・支払い条件を書面で確認しましょう。

内装工事は着工前・中間・完了後の3回に分けて支払うケースが一般的です。

着工から引き渡しまでの目安期間

工事期間は、部分的な改装なら1〜2週間程度大規模な改装やスケルトンからの工事では1〜3か月程度が目安です。

休業期間が長引くほど売上の機会損失も大きくなるため、スケジュールには予備日を含めて計画しましょう。

また、客席数の変更や厨房の改修を行う場合は、保健所への届け出や検査が必要になることがあります。

行政手続きに1〜2週間かかる場合もあるため、営業再開日から逆算して工程を組むことが大切です。

開業時の内装費用と資金計画

開業時の内装費用と資金計画

これから開業する方に向けて、開業費用全体の目安と内装工事費の位置づけを解説します。

あわせて、開業後に改装を検討すべきタイミングも押さえておきましょう。

飲食店の開業費用は平均1,000万円前後

これから開業する方は、内装工事費だけでなく開業費用全体を把握しておきましょう。

日本政策金融公庫の2025年度調査によると、開業費用の平均は975万円、中央値は600万円でした。

飲食店は厨房設備や内装に費用がかかる業態のため、1,000万円前後を1つの目安と考えると安全です。
引用元:日本政策金融公庫 新規開業に関する調査

ただし、テイクアウト専門店や小規模カフェなら数百万円で開業できる例もあります。

業態・立地・規模によって必要額は大きく変わるため、自店の条件に合わせた資金計画を立てましょう。

開業費用に占める内装工事費の割合

開業費用のなかで大きな割合を占めるのが内装工事費です。

たとえば飲食店ドットコムの試算では、15坪の中規模カフェの開業費用1,380万円のうち内装工事費は600万円と4割超を占め、厨房設備費200万円を合わせると店づくりに約6割の資金がかかる計算です。
引用元:飲食店ドットコム カフェの開業資金の相場

つまり、内装工事費をどれだけ最適化できるかが、開業資金全体を左右する最大のポイントです。

内装費を抑えた分を運転資金に回せば、開業後の経営も安定しやすくなります。

狭小店舗で初期費用を抑えたい方は、3坪の飲食店レイアウトの記事も参考になります。

開業後に改装を検討すべきタイミング

開業後の店舗では、次のようなサインが見えたら改装を検討するタイミングです。

  • 客足やリピート率が落ちてきた
  • 内装や設備の老朽化・汚れが目立ってきた
  • 業態転換やコンセプトの刷新を考えている

内装の劣化は毎日店に立つ側では気づきにくいものの、お客様には確実に伝わります。

一般的に開業から10年前後が設備更新の目安とされており、大きな故障が起きる前に計画的な改装を行うことで、営業への影響を最小限に抑えられます。

飲食店の改装に関するよくある質問

飲食店の改装に関するよくある質問

最後に、飲食店の改装費用についてよくある質問にお答えします。

Q

飲食店の改装は100万円でどこまでできますか?

A

クロスや床材の張り替え、照明の交換、塗装など部分的な改装が中心になります。5坪前後の小規模店であれば、内装の雰囲気を大きく変えることも可能です。ただし、厨房や水回りの移動を伴う工事は100万円では難しいと考えましょう。

Q

改装とリニューアルの違いは何ですか?

A

厳密な定義の違いはありませんが、一般的に改装は内装や設備の工事そのものを指し、リニューアルはコンセプトやメニューの刷新まで含む幅広い意味で使われます。工事の見積もりを依頼する際は、どちらの言葉でも工事内容を具体的に伝えれば問題ありません。

Q

改装工事中も営業を続けられますか?

A

部分的な改装であれば、定休日や夜間に工事を行うことで営業を続けられる場合があります。ただし、粉じんや騒音が出る工事は営業と両立しにくいため、大規模な改装では2週間〜1か月程度の休業が一般的です。休業期間中の告知やSNSでの発信も忘れずに行いましょう。

Q

居抜き物件の改装費用は安くなりますか?

A

既存の厨房設備や内装を活かせる場合は、坪単価15〜30万円程度に抑えられます。ただし、レイアウトを大きく変更したり設備を入れ替えたりすると、スケルトンからの工事と変わらない費用になることもあります。安くなるかどうかは「どこまで既存のものを使えるか」で決まります。

飲食店の改装は相場の把握から

本記事では、飲食店の改装費用の相場と内訳、費用を抑えるコツについて解説しました。

最後に重要なポイントを振り返ります。

この記事のまとめ
  • 改装費用は既存設備を活かせば坪単価15〜30万円が目安
  • 厨房や水回りの位置変更は費用が跳ね上がる最大の原因
  • 居抜きの活用・相見積もり・補助金の利用で費用は抑えられる

飲食店の改装は決して小さくない投資ですが、相場と内訳を理解したうえで計画的に進めれば、無駄な出費を抑えながら理想の店舗を実現できます

まずは改装の目的と工事範囲の優先順位を整理し、複数社の見積もり比較から始めてみてください。