無機質でかっこいいコンクリート打ちっぱなしの内装に憧れる一方で、「寒そう」「思ったより費用がかかるのでは?」と不安を感じていませんか。

店舗の印象を左右する内装だからこそ、見た目だけで決めて後悔したくないものです。

コンクリート打ちっぱなしは洗練された雰囲気とコスト削減を両立できる魅力的な選択肢ですが、温熱環境や配線まわりへの対策が必要になります。

また本物にこだわらず、塗装や壁紙で「打ちっぱなし風」に仕上げる方法もあります。

本記事では、店舗にコンクリート打ちっぱなしを採用するメリット・デメリットから、費用相場、おしゃれに見せるコツ、本物に近い代替手法までを解説します。

自分のお店に合うかどうかを判断する材料として役立ててください。

コンクリート打ちっぱなしの内装とは

コンクリート打ちっぱなしの内装とは

まずは、コンクリート打ちっぱなしがどのような仕上げなのかを押さえておきましょう。

仕組みやスケルトン物件との関係、店舗で選ばれる理由を順に解説します。

躯体をそのまま見せる仕上げ方法

コンクリート打ちっぱなしは、建物の構造体であるコンクリートを、壁紙やボードで覆わずにそのまま露出させる仕上げです。

一般的な内装が躯体の上に下地や仕上げ材を重ねていくのに対し、打ちっぱなしは仕上げ材を省くことで素材そのものの表情を活かします

型枠を外したままの「打ち放し」とも呼ばれ、グレーの均質な面と、丸い穴(Pコン跡)や目地のラインが独特のリズムを生みます。

スケルトン物件との関係

店舗で打ちっぱなしを実現しやすい方法が、スケルトン物件の活用です。

スケルトンとは、内装が撤去され躯体がむき出しになった状態の物件を指します。

もともとのコンクリート面をそのまま仕上げに使えれば、新たに壁を造作する手間と費用を抑えられます

居抜き物件との違いや選び方は、居抜きとスケルトンの違いを解説したこちらの記事もあわせて確認してください。

店舗内装で選ばれる理由

カフェやアパレル、美容室などで打ちっぱなしが人気なのは、装飾を削ぎ落としたミニマルな空間が商品やサービスを引き立てるためです。

グレー一色の背景は、置く家具や照明によって印象を自在に変えられます。

非日常感のある洗練された雰囲気を、比較的少ない要素でつくれる点が支持されています。

コンクリート打ちっぱなし内装のメリット

コンクリート打ちっぱなし内装のメリット

コンクリート打ちっぱなしは、見た目のかっこよさだけでなく機能やコストの面でも利点があります。

ここでは店舗にとって魅力となる4つのメリットを見ていきましょう。

コンクリート打ちっぱなし内装のメリット
  • どんなテイストにも合う洗練された雰囲気
  • 内装費用を抑えられる
  • 柱が少なく空間を広く使える
  • 耐火性が高く維持費を抑えやすい

どんなテイストにも合う洗練された雰囲気

コンクリートのグレーは、それだけで空間に統一感を生む万能な色です。

無機質なトーンはヴィンテージにもナチュラルにもラグジュアリーにも馴染み、加える家具や雑貨次第で多彩な世界観を演出できます。

とくにヴィンテージとの相性がよく、使い込むほど味が出る素材感が年季の入った家具と調和します。

内装費用を抑えられる

スケルトン物件の躯体をそのまま活かせば、壁紙やボードといった仕上げ材の材料費・施工費を省けます。

とくに天井をコンクリートのまま見せれば、天井の造作費用がまるごと不要になるケースもあります。

見た目のかっこよさと内装費の削減を同時に叶えられる点は、開業するオーナーにとって大きな魅力でしょう。

柱が少なく空間を広く使える

鉄筋コンクリート造の建物は壁自体が構造を支えるため、室内に立つ柱が最小限で済む傾向があります。

柱や間仕切りが少ない分、レイアウトの自由度が高く、客席や什器を置きやすくなります。

空間を広く感じさせられるため、開放感のある店づくりがしやすくなります。

耐火性が高く維持費を抑えやすい

コンクリートは火に強い素材で、躯体は高温の炎にも一定時間耐えられると考えられています。

耐火性の高さから火災保険料を抑えられるケースもあります。

加えて、壁紙のように貼り替えが必要ないため、経年劣化による張り替えコストがかからず維持費を低く保てます

傷や汚れも風合いとして馴染みやすい点も特徴です。

コンクリート打ちっぱなし内装のデメリット

コンクリート打ちっぱなし内装のデメリット

魅力の多いコンクリート打ちっぱなしですが、採用前に知っておきたい弱点もあります。

とくに快適性に関わる注意点を理解し、対策とセットで検討しましょう。

コンクリート打ちっぱなし内装のデメリット
  • 夏は暑く冬は寒い断熱性の低さ
  • 結露やカビが発生しやすい
  • 配線・配管がむき出しになりやすい
  • 加工次第でコストがかさむこともある

夏は暑く冬は寒い断熱性の低さ

コンクリートは熱を蓄えやすく、外気の影響を受けやすい素材です。

仕上げ材や断熱層を省くと、夏は室内が暑くなりやすく、冬は底冷えしやすい環境になりがちです。

冷暖房の稼働が増えれば光熱費も上がります。

とくに窓が大きい店舗や直射日光が入る立地では影響が大きく空調計画とセットで検討する必要があります。

結露やカビが発生しやすい

室内外の温度差が大きいと、コンクリート面に結露が生じやすくなります。

湿気がこもればカビの原因にもなり、とくに地下や湿度の高い立地では注意が必要です。

防水処理や換気計画をあらかじめ盛り込むことで、こうしたリスクは軽減できます。

飲食店など水蒸気が多く出る業態では、より丁寧な対策が求められます。

配線・配管がむき出しになりやすい

壁内にスペースを確保しにくいため、配線や配管を隠す場所が限られます。

むき出しのダクトや配管を逆手に取り、インダストリアルな演出として活かす手もありますが、すっきり見せたい場合は配線ルートの設計が重要です。

天井と同色に塗装したり、配線ボックスでまとめたりといった工夫で、美観を保てます。

加工次第でコストがかさむこともある

仕上げ材を省けば安く済むイメージがありますが、実際は逆のケースもあります。

コンクリート表面を滑らかに整えたり、ムラや汚れを補修したりする作業には、技術と工期が必要です。

仕上がりの美しさを求めるほど人件費が増える傾向があるため、「打ちっぱなし=安い」と即断せず、見積もりで内訳を確認しておきましょう。

コンクリート打ちっぱなし内装の費用相場

コンクリート打ちっぱなし内装の費用相場

気になる費用は、物件の状態と仕上げ方法によって大きく変わり、スケルトンの躯体を活かせば安く抑えられる一方、表面の補修や保護塗装を加えるほど金額は上がります。

そのため、複数社の見積もりで内訳を比較するのが失敗を防ぐ近道です。

本物の打ちっぱなしと「打ちっぱなし風」の手法を比べながら、費用感と抑えるコツを確認しましょう。

本物のコンクリート打ちっぱなしの費用感

本物の打ちっぱなしは、既存躯体をそのまま使うか、新たに型枠を組んで打設するかで費用が大きく異なります。

スケルトン物件の既存コンクリートを活かす場合は、清掃と保護塗装が中心となり比較的安価です。

一方、躯体の状態が悪く補修や表面処理が必要になると、加工の手間に応じて費用が増えていきます

店舗全体の内装費の目安は、業態や規模によって幅があります。

仕上げ方法別の費用比較

「打ちっぱなしの雰囲気」を出す方法は本物だけではありません。

塗装やモルタル仕上げ、専用の壁紙でも近い質感を再現できます。

それぞれ費用感と仕上がりが異なるため、予算と求める質感のバランスで選びましょう。

仕上げ方法費用感特徴
既存躯体の活用スケルトンの躯体を清掃・保護。最も安価
打ちっぱなし風塗装低〜中下地に塗装でコンクリート調を再現
コンクリート風壁紙クロスで手軽に質感を再現。部分使いも可
モルタル仕上げ左官でなめらかな質感。施工に技術が必要
新規打設型枠から打設。本物だが費用・工期大

費用を抑えるための見積もりのコツ

費用を抑える最大のポイントは、複数社から相見積もりを取り、内訳を比較することです。

「内装工事一式」とだけ書かれた見積もりは内容が不透明なため、項目ごとに分かれた明細を出してもらいましょう。

打ちっぱなしは業者の経験差が仕上がりに出やすい工法なので、施工事例を確認したうえで依頼先を選ぶと安心です。

店舗内装の費用全体の考え方については、店舗の内装工事費用の相場を解説したこちらの記事も参考になります。

コンクリート打ちっぱなしをおしゃれに仕上げるコツ

コンクリート打ちっぱなしをおしゃれに仕上げるコツ

無機質なコンクリートも、ちょっとした工夫で温かみのある洗練された空間になります。

床・照明・素材の組み合わせという3つの視点から、おしゃれに見せるコツを紹介します。

ポイント
  • :床材で温かみと色を加える
  • 照明:暖色系の照明で雰囲気を演出する
  • 素材:素材の組み合わせでテイストを決める

床材で温かみと色を加える

グレー一色のコンクリート壁は、床のデザインを引き立てる背景として機能します。

木材を使ったキャメルやベージュの床を合わせると、木のぬくもりがコンクリートの冷たさを和らげます

逆に床自体もコンクリート調で揃えれば、より硬質でモダンな空間に振ることもできます。

床までコンクリート打ちっぱなしにする場合の特徴や費用は、こちらの記事もあわせて確認してください。

床は面積が大きく印象を左右するため、優先して検討したい要素です。

暖色系の照明で雰囲気を演出する

照明の色温度は、空間の体感温度を大きく変えます。

黄色やオレンジ寄りの暖色系照明をコンクリートに当てると、無機質なグレーが柔らかく見え、居心地のよい温かみのある空間に仕上がります。

スポットライトで壁面に陰影をつければ、コンクリートの素材感を際立たせる演出も可能です。

素材の組み合わせでテイストを決める

コンクリートは、合わせる素材で表情が変わります。

アイアンやステンレスを足せばインダストリアルに、木や植物を加えればナチュラルに、真鍮や照明でラグジュアリーにと、目指すテイストに応じて素材を選ぶのが仕上がりの鍵です。

打ちっぱなしを全面に使うと無骨になりすぎる場合は、一部の壁だけに使ってアクセントにする方法も有効です。

本物にこだわらない打ちっぱなし風の選択肢

本物にこだわらない打ちっぱなし風の選択肢

断熱や結露が気になるなら、見た目だけを取り入れる「打ちっぱなし風」という手があります。

打ちっぱなし風ならば機能面の不安を抑えつつ、コンクリートの雰囲気を楽しめます。

塗装・壁紙・代替素材それぞれの特徴を知り、機能面の不安を抑えた選択を検討しましょう。

打ちっぱなし風の塗装で再現する

下地のボードや既存壁に、コンクリート調の塗装を施す方法です。

職人がムラやグラデーションを表現することで、本物に近い質感を再現できます。

断熱層を残したまま見た目だけを取り入れられるため、機能面の不安を抑えつつ雰囲気を出したい店舗に向いています

荒々しい質感が苦手な場合に、なめらかに整える用途でも使えます。

コンクリート風壁紙やモルタル仕上げ

手軽さを重視するなら、コンクリート柄の壁紙が選択肢になります。

粗骨材の質感を写したざらっとしたタイプから、墨を混ぜたモルタルを再現したなめらかなタイプまで幅広く、部分的なアクセント使いも可能です。

より本物に近い質感を求めるなら、左官職人が仕上げるモルタル塗りが適しています。

手作業ならではの陰影が生まれ、温かみのある表情に仕上がります。

ALCなど代替素材を使う

ALC(軽量気泡コンクリート)は、内部に気泡を含むため通常のコンクリートより軽く、断熱性に優れた素材です。

打ちっぱなしの見た目を残しつつ、温熱環境の弱点を補えるのが利点です。

デザイン性と機能性のバランスを取りたい場合に検討する価値があります。

どの代替手法が最適かは、業態や物件条件によって変わります。

コンクリート打ちっぱなし内装に関するよくある質問

コンクリート打ちっぱなし内装に関するよくある質問

最後に、コンクリート打ちっぱなしの内装を検討する際によく寄せられる疑問に答えます。

費用や対策、向いている業態などの不安を解消しておきましょう。

Q

コンクリート打ちっぱなしの内装は本当に安く済みますか。

A

仕上げ材を省ける分、安く済むケースはあります。ただし表面の補修や保護塗装、配線処理を丁寧に行うと費用がかさむこともあります。物件の状態と求める仕上がりによって変わるため、見積もりで確認しましょう。

Q

寒さや暑さの対策はできますか。

A

空調計画の工夫や、断熱性のあるALCの活用、打ちっぱなし風塗装で見た目だけを取り入れる方法などで対策できます。全面を本物にせず一部だけ採用するのも有効です。

Q

どんな業態の店舗に向いていますか。

A

カフェ、アパレル、美容室、バーなど、洗練された雰囲気や非日常感を求める業態と相性がよいとされます。一方で、温かみや家庭的な雰囲気を重視する業態では、素材の組み合わせで印象を調整するとよいでしょう。

Q

配線や配管のむき出しが気になります。

A

むき出しの配管をデザインとして活かす方法のほか、天井と同色に塗装して目立たせない配線ボックスでまとめるといった対策があります。事前に配線ルートを設計しておくとすっきり仕上がります。

まとめ

コンクリート打ちっぱなしの内装は、洗練された雰囲気とコスト削減を両立できる魅力的な選択肢です。

一方で、断熱性の低さや結露、配線まわりといった注意点もあり、対策とセットで考えることが成功の鍵になります。

この記事のまとめ
  • 躯体を活かせば内装費を抑えつつ洗練された空間をつくれる
  • 暑さ寒さ・結露・配線は事前の対策で軽減できる
  • 費用は物件状態と仕上げ次第。相見積もりで内訳を比較する
  • 不安があれば塗装・壁紙・ALCで「打ちっぱなし風」も選べる

本物にこだわるか、打ちっぱなし風で機能面を優先するかは、業態や物件条件によって最適解が変わります。

仕上がりイメージと予算のバランスを踏まえ、施工事例の豊富な業者に相談しながら、自分のお店に合った形を見つけていきましょう。