美容室の内装デザインで失敗しない!人気スタイルや費用相場の完全ガイド

美容室内装デザイン_アイキャッチ

これから美容室を開業しようと考えているあなた。おそらく今、Pinterest やInstagramで理想の内装イメージを探しながら、「こんな雰囲気にしたい」と夢を膨らませているのではないでしょうか。

でも同時に、費用はどれくらいかかるのか、本当にこのデザインで集客できるのか、そもそも何から決めればいいのか……そんな不安も抱えているはずです。

美容室の内装は、単なる「おしゃれな空間づくり」ではありません。

ここで決めた設計が、今後の売上、働きやすさ、そしてブランドイメージのすべてを左右します。

実は、開業後に「もっとこうすればよかった」と後悔するオーナーの多くは、デザインを優先しすぎて、法律や動線、設備といった”条件”を後回しにしてしまった失敗したケースです。

この記事では、美容室の内装を決める正しい順序から、今人気のデザインスタイル、費用相場、レイアウトの考え方、そして施工会社の選び方まで、開業前に知っておくべき情報を体系的に整理しました。

デザインにこだわりたい気持ちはそのままに、現実的で失敗しない内装計画を一緒に組み立てていきましょう。

美容室の内装は世界観より先に条件で決める

世界観より先に条件で決める

多くの失敗例は「デザイン先行」で起きます。

美容室内装は、保健所基準・動線・設備・席数の条件が先ですが、ここを押さえると、思い通りのデザインを選べます。

なぜ条件が先なのか。それは、どんなに美しい内装でも、保健所の許可が下りなければ営業できませんし、配管の位置を無視した設計では工事費が跳ね上がるからです。

逆に言えば、最初に「制約」を明確にしておけば、その枠内で最大限に自由な発想ができるということです。

ここでは、デザインを考える前に必ず確認すべき3つの条件を解説します。

まず確認すべきは法律・保健所ルール

美容室として営業するには、各自治体の保健所が定める美容所の開設基準をクリアする必要があります。

これは地域によって細かく異なりますが、共通する主な項目は以下の通りです。

  • 作業室の面積
    1作業椅子あたり13平方メートル以上が必要とされるケースが多く、東京都などではさらに厳しい基準が設定されています。つまり10坪程度の物件なら、席数は2〜3席が現実的なラインになるわけです。

    また、待合スペースと作業スペースは明確に区分しなければならず、壁やパーテーションで仕切る必要がある場合もあります。
  • 換気設備
    換気設備については一定の換気能力が求められ、窓がない物件では機械換気が必須です。照明の明るさにも基準があり、作業面で100ルクス以上を確保しなければなりません。洗髪設備は必ず作業室内に設置する必要があり、給湯設備も義務付けられています。

これらの条件を満たさないまま内装工事を進めてしまうと、最悪の場合は工事のやり直しが発生します。

必ず契約前に、物件の管轄保健所に相談し、図面を持ち込んで事前確認を受けるようにしてください。

この一手間が、後々の大きなトラブルを防ぎます。

内装の自由度を決めるのは「給排水・電気・空調」

デザインの自由度を最も制限するのが、実は設備の配置です。

特に給排水と電気容量は、物件によって大きく条件が変わります。

  • 給排水設備
    給排水設備については、シャンプー台の設置位置が最大のポイントになります。既存の配管位置から遠い場所にシャンプー台を置こうとすると、床を掘削して新たに配管を引く必要があり、工事費が一気に跳ね上がります。

    居抜き物件であれば既存の配管をそのまま活用できる場合も多いですが、スケルトン物件では配管位置の確認が最優先です。排水の勾配も重要で、適切な角度が取れない場合は床上げ工事が必要になることもあります。
  • 電気容量
    電気容量も見落としがちなポイントです。美容室では、ドライヤー、アイロン、カラー剤の保温器、エアコン、照明など、多くの電気機器を同時に使用します。特にドライヤーは消費電力が大きいため、席数が増えるほど必要な電気容量も増加します。

    既存の電気容量で足りない場合は、電力会社への増設申請が必要になり、これには工事費だけでなく時間もかかります。開業スケジュールにも影響するので、早めの確認が不可欠です。
  • 空調設備
    空調設備については、美容室特有の注意点があります。カラー剤やパーマ液の臭気対策として、換気能力は通常の店舗より高めに設定する必要があります。また、ドライヤーの熱で室温が上がりやすいため、冷房能力も余裕を持たせた設計が理想的です。

    既存の空調設備をそのまま使う場合は、能力が十分か必ず確認しましょう。

これらの設備条件を最初に把握しておけば、「このエリアにはシャンプー台を置きやすい」「こちらの壁際にはドライヤーが集中する席を配置できる」といった具合に、現実的なレイアウトのベースが見えてきます。

席数・動線が売上と回転率を決める

内装デザインで見落とされがちなのが、「動線設計」の重要性です。

どれだけ美しい空間でも、スタッフが動きにくかったり、お客様同士の距離が近すぎたりすれば、サービスの質が下がり、結果的に売上にも響きます。

席数については、物件の広さだけでなく、提供するメニュー内容と営業スタイルに合わせて決めるべきです。

たとえば、カット中心の回転率重視型サロンなら、多少席数を増やしても問題ありませんが、カラーやトリートメントなど滞在時間が長いメニューが中心なら、ゆとりを持った席配置が必要になります。

動線設計では、スタッフが最短距離で動けるかどうかがポイントです。

セット面からシャンプー台への移動、バックヤードからセット面への往復、薬剤の保管場所からセット面までの距離など、日常の動きを想定してレイアウトを組む必要があります。

特に複数のスタッフが同時に動く場合、動線が交差しないよう配慮することで、業務効率が大きく向上します。

また、お客様のプライバシーへの配慮も忘れてはいけません。席と席の間隔が狭すぎると、隣の会話が丸聞こえになり、リラックスできない空間になってしまいます。

セット面の配置は、鏡に映る範囲も考慮し、他のお客様が視界に入りすぎないよう工夫しましょう。

条件を先に固めることで、デザインの方向性が明確になり、無駄な工事費も削減できます。

次の章では、これらの条件を満たした上で選ぶべきデザインスタイルについて見ていきましょう。

そのうえでデザインを決める|5つの人気スタイル比較

5つの人気スタイル比較

曖昧な「おしゃれにしたい」ではなく、ターゲット層×価格帯でスタイルを選ぶとブレません。

ここからは、具体的なデザインスタイルの選び方に入ります。

内装のスタイルは単なる好みではなく、「どんなお客様に来てほしいか」「どんな価格帯で勝負するか」によって戦略的に決めるべきです。

ターゲットが明確になれば、使うべき素材、色、照明、サインの方向性も自然と定まります。

今回は、現在特に人気の高い5つのスタイルを、それぞれの特徴とターゲット層に分けて解説します。

韓国風

韓国風美容室のイメージ
韓国風のポイント

20代 / カラー特化 / 写真映え重視

韓国風スタイルは、ここ数年で爆発的に人気が高まったデザインです。

特徴は、明るいトーンの内装、曲線を多用した柔らかいフォルム、そして何よりも「映える」空間づくり。

若年層、特にSNSでの発信を重視する20代女性をターゲットにしたサロンに最適です。

素材としては、白やベージュを基調とした壁面に、大理石調やテラゾー調のタイルを部分的に使用するのが定番です。

アクセントとして、くすみピンクやミントグリーンといったペールトーンを取り入れると、トレンド感が増します。

家具は丸みを帯びたデザインを選び、角ばった印象を避けるのがポイントです。

照明は、間接照明を多用して柔らかい光を演出しつつ、セット面にはしっかり明るさを確保します。特に重要なのが、お客様が自撮りしたときに綺麗に映る照明計画です。顔周りに影ができないよう、上からだけでなく前方からも光を当てる工夫が必要になります。

サイン計画では、ネオン管やLEDを使った光るロゴが人気です。店名やキャッチコピーを壁面にネオンサインで掲げることで、店内での撮影スポットを作ることができます。これがSNSでの拡散を促し、集客につながります。

注意点としては、トレンドの移り変わりが早いことです。数年後には古く見える可能性もあるため、低コストで模様替えできる部分と、構造的に作り込む部分を分けておくと良いでしょう。

インダストリアル

インダストリアル内装のイメージ
インダストリアルのポイント

メンズ / バーバー / 高坪単価

インダストリアルスタイルは、無骨で男性的な雰囲気が特徴です。バーバースタイルのサロンや、メンズ専門店、あるいは高単価を狙うユニセックスサロンに向いています。

素材の選び方が、このスタイルの核心で、コンクリート打ちっぱなしの壁、スチールフレームの什器、ブラックアイアンの装飾、古材やヴィンテージウッドの使用など、素材の質感をそのまま活かした仕上げが基本になります。

配管をあえて露出させるデザインも人気で、天井の配管を黒く塗装して見せることで、空間に奥行きと高さを演出できます。

色は、グレー、黒、濃い茶色といったダークトーンを中心に組み立てます。ただし全体が暗くなりすぎないよう、部分的に白やシルバーを差し込んでメリハリをつけることが重要です。床材は、モルタル仕上げやダークトーンのフローリングが定番で、タイルを使う場合はマットな質感を選ぶとスタイルに馴染みます。

照明は、エジソン球などのフィラメントが見えるタイプや、インダストリアルデザインのペンダントライトが合います。作業灯のようなアームライトを各セット面に配置するのも効果的です。ただし、施術には十分な明るさが必要なので、デザイン性と実用性のバランスを取る必要があります。

サインやディスプレイでは、ヴィンテージ感のあるアイテムを取り入れると統一感が出ます。古い看板、レトロなポスター、革製品、バイク関連のアイテムなどを配置することで、世界観がより明確になります。

このスタイルは比較的長く陳腐化しにくいため、長期的な投資として考えても良いでしょう。ただし、素材にこだわる分、コストは高めになる傾向があります。

ナチュラル・カフェ風

ナチュラル・カフェ風のイメージ
ナチュラル・カフェ風のポイント

主婦層 / 定期来店型

ナチュラル・カフェ風は、安心感とリラックスを提供するスタイルです。ファミリー層や主婦、年齢層が幅広いリピーター客をターゲットにしたサロンに最適で、長く愛される普遍的なデザインと言えます。

素材は、無垢材や明るいトーンの木材を中心に選びます。床は明るめのフローリング、壁は白や生成り色の塗装またはクロス、天井には木目を見せることで、温かみのある空間になります。観葉植物を複数配置することで、自然な雰囲気がさらに強調されます。

家具やインテリアは、北欧風やナチュラルテイストの既製品を活用することで、コストを抑えながらも統一感を出せます。セット面の椅子や待合のソファは、ファブリック素材で柔らかい印象を演出しましょう。小物類も、カゴやガラス瓶、陶器など、自然素材のアイテムで揃えると統一感が増します。

照明は、温白色の柔らかい光を基調にします。ペンダントライトはシンプルなデザインで、木やファブリックのシェードを選ぶと雰囲気に合います。窓がある物件なら、自然光をできるだけ取り入れるプランにすると、明るく開放的な空間になります。

サイン計画は、あまり派手にせず、木製の看板や手書き風のロゴなど、親しみやすさを優先します。店外のサインも、周辺環境に溶け込むデザインにすることで、地域に根ざした印象を与えられます。

このスタイルのメリットは、老若男女問わず受け入れられやすく、流行に左右されにくい点です。初期投資も比較的抑えやすく、長期的に安定した経営を目指すサロンに向いています。

モード・ミニマル

モード・ミニマルのイメージ
モード・ミニマル風のポイント

高単価・ブランド指向

モード・ミニマルスタイルは、洗練された都会的な空間を演出し、高単価でブランド志向の顧客をターゲットにします。無駄を削ぎ落とした美しさが特徴で、デザインの完成度が求められるスタイルです。

素材は、質の高いものを厳選して使います。壁は白またはグレーのマットな塗装、床は大判のタイルやモルタル仕上げ、アクセントとして大理石や金属を部分的に使用することで、高級感を演出します。色数を絞り、モノトーンを基調とすることで、静謐で落ち着いた雰囲気になります。

家具や什器は、デザイナーズブランドやオーダーメイドを選ぶことで、空間全体の品格が上がります。セット面の椅子、待合のソファ、受付カウンターなど、すべてのアイテムに統一感を持たせることが重要です。装飾は最小限に抑え、1〜2点のアート作品を効果的に配置することで、空間にアクセントを加えます。

照明は、建築化照明やダウンライトを使い、照明器具そのものが目立たないよう計画します。光の質にこだわり、演色性の高いLEDを使用することで、お客様の髪色や肌色を美しく見せることができます。間接照明で壁面を照らすことで、空間に奥行きと上質さを加えられます。

サインは、ロゴタイプにこだわり、シンプルで洗練されたデザインにします。金属切り文字やアクリル板など、素材感を活かしたサインが効果的です。店外サインも含めて、ブランドイメージを統一することが、高単価戦略を成功させる鍵になります。

このスタイルは、初期投資が高額になりがちですが、ターゲットが明確で客単価も高く設定できるため、収益性を重視するサロンには有効な選択肢です。

ホテルライク

ホテルライクのイメージ
ホテルライク風のポイント

個室・上質・滞在価値型

ホテルライクスタイルは、美容室の枠を超えた「滞在体験」を提供するデザインです。個室やセミ個室を中心とした空間構成で、プライバシーとラグジュアリーを重視する顧客層に響きます。

素材は、高級ホテルを参考に選びます。壁紙は質感のある織物調やレザー調、床はカーペットや高品質なフローリング、水回りには大理石やタイルを贅沢に使用します。色は、ベージュ、グレー、ネイビー、ゴールドなど、落ち着いた大人の配色でまとめます。

個室の設計では、防音性能にも配慮が必要です。隣の個室の音が聞こえてしまうと、せっかくの特別感が台無しになります。壁の遮音対策や、ドアの気密性にも投資する価値があります。各個室にシャンプー台を設置する場合は、給排水の配管工事が複雑になるため、設計段階から専門家に相談しましょう。

照明は、調光機能を持たせることで、シーンに応じた明るさに変更できるようにします。施術時はしっかり明るく、待ち時間やトリートメント中は少し落とすなど、細やかな調整ができると満足度が高まります。間接照明を多用し、直接光が目に入らない計画にすることで、リラックスできる空間になります。

アメニティやサービスの質も、このスタイルでは重要です。待合スペースにはドリンクサービスのカウンターを設け、個室内にはタブレット端末や雑誌を充実させるなど、ハード面だけでなくソフト面での投資も必要になります。

このスタイルは、初期投資が最も高額になりますが、客単価を大きく引き上げられるため、ハイエンド市場を狙うサロンには最適です。競合との差別化も明確にでき、ブランド力の構築にも寄与します。

美容室内装の費用相場|坪単価と予算が変わる要因

坪単価と予算が変わる要因

費用は「坪単価 × 仕様 × 既存状態」で決まります。これを知らないと見積もり比較ができません。

内装工事の費用は、物件の状態、選ぶ素材や設備のグレード、そして施工範囲によって大きく変動します。

ここでは、一般的な費用の目安と、費用が変動する具体的な要因を整理し、予算を組む際の判断材料を提供します。

規模坪単価の目安店舗のタイプ目安総額
(10〜20坪例)
35〜60万 / 坪居抜き / 既存活用400〜800万円
60〜90万 / 坪造作多め / 新装800〜1500万円
90万〜 / 坪ハイブランド / 個室特化1500万〜

この表は、あくまで目安です。

実際の費用は、立地、物件の既存状態、選択する仕様によって大きく変わります。

たとえば同じ15坪の物件でも、スケルトン状態から作るのと、美容室の居抜き物件を活用するのとでは、数百万円の差が出ることも珍しくありません。

費用が上がりやすい項目

内装費用が予想以上に高額になる原因は、いくつかの特定の項目に集中しています。

これらを事前に把握しておけば、予算オーバーを防ぐことができます。

費用が上がりやすい項目
  • 水回りの工事
  • 電気工事
  • 造作家具

まず最も費用がかかりやすいのが、水回りの工事です。

シャンプー台の新設や移動には、給排水配管の工事が伴います。特に床下の配管が必要な場合、床を一度解体して配管を通し、再度床を作り直すため、工事費が大幅に増加します。排水の勾配が取れない場合は、床を上げる工事も必要になり、さらにコストが上乗せされます。

電気工事も、席数が多い場合や高出力の設備を使う場合に費用が膨らみます。

電気容量の増設工事、分電盤の交換、配線の引き直しなどが必要になると、数十万円から百万円以上の追加費用が発生することもあります。特に古い建物では、既存の電気設備が現在の基準に合っていないケースも多く、想定外の工事が必要になる場合があります。

造作家具もコストを押し上げる要因です。

受付カウンター、セット面のカウンター、バックヤードの収納棚など、オーダーメイドで作る場合、既製品の数倍の費用がかかります。デザインにこだわるほど、職人の手間賃も増えるため、予算との兼ね合いを慎重に判断する必要があります。

また、意外と見落とされがちなのが、解体・撤去費用です。

スケルトン物件であればこの費用は発生しませんが、居抜き物件で既存の内装を一部撤去する場合、産業廃棄物の処分費用も含めて数十万円かかることがあります。特にアスベストが含まれている古い建物の場合、専門業者による撤去が必要になり、費用が跳ね上がります。

コストを抑える代替策

予算に限りがある場合でも、工夫次第で満足度の高い内装を実現できます。

ここでは、コストを抑えながらクオリティを保つための具体的な方法を紹介します。

コストを抑える方法
  • 居抜き物件を活用する
  • 顔となる部分以外は既製品を活用する
  • DIYを部分的に取り入れる

まず検討すべきは、居抜き物件の活用です。

前のテナントが美容室やサロンだった場合、シャンプー台や配管、電気設備をそのまま使えることが多く、大幅なコスト削減につながります。

既存の設備を活かしつつ、壁紙や床材、照明を変更するだけでも、雰囲気は大きく変わります。完全に自分好みの空間にはならないかもしれませんが、初期投資を抑えて早期に開業できるメリットは大きいです。

造作家具と既製品のバランスも重要です。

たとえば、受付カウンターや顔となる部分だけをオーダーメイドで作り、バックヤードの棚や待合の家具は既製品を活用することで、大幅にコストを削減できます。

最近は、IKEAやニトリなどでも店舗向けに使える家具が豊富にあり、うまく組み合わせればおしゃれな空間を作れます。

素材選びでも、代替案はたくさんあります。

たとえば、見た目の印象を保ちながらコストを下げるには以下のような方法があります。

  • 天然の大理石ではなく大理石調のタイルや化粧板を使う
  • 無垢材ではなく木目調のシートを貼る
  • 漆喰の壁ではなく漆喰風の塗装を施すなど

ただし、あまりに安価な素材を選ぶと、すぐに劣化したりチープな印象になったりするため、バランスが大切です。

DIYを部分的に取り入れるのも有効です。

壁のペンキ塗りや、小物の設置、看板の制作などは、自分でやることで人件費を削減できます。

ただし、電気工事や水道工事、ガス工事などは資格が必要な作業なので、必ず専門業者に依頼してください。

相見積もり時に条件を揃えたほうがいいチェック項目

複数の施工会社から見積もりを取る際、条件が揃っていないと正確な比較ができません。

見積もりを依頼する前に、以下の項目を明確にしておきましょう。

見積もり依頼前にチェックする項目
  • 工事の範囲を明確にする
  • 使用する素材やメーカーを指定する
  • 保証内容やアフターサービスを確認
  • 支払い条件やスケジュール

まず、工事の範囲を明確にします。

どこまでが工事範囲で、どこからがオーナー側の負担なのかを明記してもらいます。たとえば、家具や什器の購入費用は含まれているのか、照明器具は支給なのか工事費に含まれるのか、といった点です。曖昧なまま進めると、後から追加費用が発生する原因になります。

次に、使用する素材やメーカーを指定します。

「フローリング」と一口に言っても、メーカーやグレードによって価格は大きく異なります。見積もりの段階で、具体的な商品名やグレードを記載してもらうことで、比較がしやすくなります。

保証内容やアフターサービスも確認ポイントです。

工事完了後に不具合が見つかった場合、どこまで無償で対応してもらえるのか、保証期間は何年なのかを明記してもらいましょう。価格だけで選ぶと、後々トラブルになるケースもあります。

支払い条件やスケジュールも、見積もりの段階で確認すべきです。

着手金、中間金、完成時の支払いがどのような比率になっているのか、工期はどれくらいかかるのかを明確にします。開業予定日が決まっている場合は、遅延リスクも含めて確認しておくと安心です。

レイアウト例で理解する席数=売上の考え方

席数は売上に直結する重要な要素ですが、単純に多ければ良いというものではありません。

提供するサービス内容、スタッフの人数、客層によって、最適な席数は変わります。

ここでは、坪数ごとの現実的な席数と、その根拠を解説します。

10〜12坪|2〜4席+1シャンプーの最適形

10〜12坪は、個人経営や小規模サロンに多い広さです。この広さで無理に席数を増やすと、窮屈で動線が悪くなり、かえってサービスの質が下がります。

現実的な席数は、セット面2〜4席、シャンプー台1台です。

オーナー1人での営業なら2〜3席、スタッフを1人雇うなら3〜4席が目安になります。この規模では、待合スペースは最小限にし、セット面とシャンプー台、バックヤードのスペースを優先します。

レイアウトのポイントは、シャンプー台をどこに配置するかです。奥に配置すれば、お客様の移動距離は長くなりますが、セット面からの視線が遮られてプライバシーが保たれます。逆に入口近くに配置すれば動線は短くなりますが、外からの視線が気になることもあります。物件の形状と窓の位置を考慮して決めましょう。

バックヤードは、最低限の収納と着替えスペースが確保できれば十分です。薬剤やタオルの収納は、壁面を有効活用して棚を設置することで、床面積を節約できます。小規模サロンでは、限られたスペースをいかに効率よく使うかが成功の鍵です。

15〜18坪|5〜7席+バックヤード拡張

15〜18坪になると、スタッフ2〜3人での営業が現実的になります。この規模では、セット面5〜7席、シャンプー台1〜2台が標準的な構成です。

レイアウトの自由度が上がる分、動線設計がより重要になります。

複数のスタッフが同時に動く場合、動線が交差しないよう配置を工夫する必要があります。たとえば、シャンプー台への導線を2方向確保する、セット面を背中合わせに配置して中央に通路を確保するなど、スムーズな移動を意識した設計が求められます。

この広さになると、バックヤードも充実させられます。

スタッフの休憩スペース、トイレ、洗濯機置き場、十分な収納スペースを確保できるため、働きやすさが向上します。スタッフの満足度は、サービスの質に直結するため、バックヤードへの投資も惜しまないことが大切です。

待合スペースも、2〜3人が座れる程度のソファを配置できます。予約が重なった場合でも、お客様に快適に待っていただける空間があると、クレームのリスクが減ります。

売上を最大化するには、回転率を意識した運営が必要です。カット中心のメニューなら1日あたり1席で3〜4人、カラーやパーマが多い場合は2〜3人が現実的なラインです。席数と回転率、客単価のバランスを見ながら、営業計画を立てましょう。

個室・半個室は何坪から成立する?

個室や半個室は、プライバシーを重視する顧客層に人気ですが、スペース効率は悪くなります。

完全個室を作る場合、1室あたり最低でも4〜5坪は必要です。

15坪未満の物件で個室を作ると、全体で1〜2室しか確保できず、回転率が低くなります。そのため、個室型のサロンを運営するには、最低でも20坪以上、できれば25〜30坪の広さが理想的です。この規模であれば、個室3〜4室を配置し、それぞれにシャンプー台を設置することも可能です。

半個室の場合は、天井までの壁ではなく、パーテーションやカーテンで仕切ることで、スペースを節約できます。完全な防音はできませんが、視覚的なプライバシーは確保でき、個室ほどスペースを取りません。10〜12坪の物件でも、半個室なら2室程度は作れる場合があります。

個室型サロンのメリットは、客単価を高く設定できることと、競合との差別化が明確にできることです。

一方で、初期投資が高額になり、席の稼働率が低い時間帯は売上が伸びにくいというデメリットもあります。ターゲット層と価格戦略をしっかり定めた上で、個室化を検討しましょう。

内装会社の選び方|美容室が得意かで結果が変わる

美容室が得意かで結果が変わる

内装で最も多い失敗は、美容室に慣れていない施工会社に依頼することです。

内装会社の選択は、仕上がりの質、工事費用、そして開業後の満足度に大きく影響します。

どんなに理想的な設計図を描いても、施工会社の技術力や理解度が不足していれば、思い通りの結果にはなりません。

ここでは、内装会社を選ぶ際に注意すべきポイントを解説します。

設計+施工一括か、分離発注か

内装工事の発注方法には、大きく分けて2つのパターンがあります。

設計施工一括

設計から施工まで1つの会社に任せる方法で、窓口が一本化されるため、やり取りがスムーズです。責任の所在も明確で、トラブルが起きた際の対応も早い傾向があります。初めて開業する方や、内装に関する知識が少ない方には、この方式がおすすめです。

分離発注

設計は設計事務所に、施工は施工会社に、それぞれ別に発注する方法です。設計の自由度が高く、デザインにこだわりたい場合には向いています。また、複数の施工会社に相見積もりを取りやすいため、コスト削減の可能性もあります。ただし、設計と施工の間で意思疎通がうまくいかないと、トラブルの原因になることもあります。

どちらが良いかは、オーナーの知識量や、どこに重きを置くかによって変わります。

デザインに強いこだわりがあり、時間と手間をかけられるなら分離発注スムーズに進めたいなら一括発注が無難でしょう。

美容室専門が強い理由

美容室の内装は、一般的な店舗とは異なる特有の知識が必要です。美容室専門の内装会社が強いのは、この特有の要件を熟知しているからです。

たとえば、シャンプー台の配管には適切な勾配が必要で、これを理解していない業者だと、排水がうまくいかずに後から工事のやり直しになることがあります。また、ドライヤーの電気容量、カラー剤の臭気対策、セット面の照明計画、保健所の基準など、美容室ならではのポイントが多数あります。

美容室専門の会社であれば、これらの要件を設計段階から織り込んでくれるため、後から「これができない」「あれが足りない」といった問題が起きにくくなります。また、過去の施工事例をもとに、現実的なアドバイスをもらえることも大きなメリットです。

さらに、美容室業界のトレンドや、どんなデザインが集客に効果的かといった知見も持っています。単なる施工業者ではなく、経営面でのパートナーとして相談できる存在になることもあります。

面談で聞くべき質問チェックリスト

内装会社を選ぶ際は、必ず複数社と面談し、以下のポイントを確認しましょう。

面談で聞くべき質問チェックリスト
  • 美容室の施工実績
    過去に何店舗手がけたか、どんなスタイルの店舗が得意か、実際の写真を見せてもらいましょう。可能であれば、実際に施工した店舗を見学させてもらうと、仕上がりのクオリティを直接確認できます。
  • 保健所対応の経験
    保健所との事前相談や、開設検査の立ち会いなど、どこまでサポートしてもらえるかを聞いておきましょう。経験豊富な会社であれば、地域ごとの基準の違いも把握しており、スムーズに手続きを進められます。
  • 見積もりの内訳
    材料費、人件費、諸経費がそれぞれどれくらいか、追加費用が発生する可能性はあるか、支払い条件はどうなっているかなど、細かく確認します。曖昧な説明しかしてもらえない場合は、注意が必要です。
  • 工期と保証内容
    いつから工事を開始でき、いつまでに完成するか、遅延した場合の対応はどうなるか、完成後の保証期間は何年か、アフターサービスはどこまで対応してもらえるかを確認しましょう。

最後に、担当者との相性も大切にしてください。

内装工事は、数ヶ月にわたって密にやり取りをする作業です。質問に丁寧に答えてくれるか、こちらの要望を理解してくれるか、信頼できる人柄かどうかも、判断材料に含めましょう。

よくある失敗と回避策

よくある失敗と回避策

美容室の内装でよくある失敗パターンと、その回避策をまとめます。

これらを事前に知っておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。

デザイン先行 → 条件を先に固める

デザイン先行で条件を後回しにした結果、保健所の基準を満たせず、工事のやり直しになるケースがあります。

これを避けるには、条件を先に固めることが鉄則です。物件契約前に保健所に相談し、図面を持ち込んで事前確認を受けることで、大きなトラブルを防げます。

席数を詰めすぎ → 回転率が落ちて売上低下

席数を詰めすぎて、動線が悪くなり、回転率が落ちて売上が伸びないケースです。

狭い空間に無理に席を増やすと、スタッフが動きにくく、お客様もリラックスできません。適正な席数は、坪数だけでなく、提供するメニューやスタッフの人数に合わせて決めましょう。ゆとりを持った設計が、長期的には売上アップにつながります。

予算超過 → 代替素材・造作/既製バランスで調整

予算超過も、よくある失敗です。見積もり段階では予算内でも、工事が進むにつれて追加費用が発生し、最終的に大幅にオーバーしてしまうケースがあります。

これを防ぐには、代替素材・造作と既製品のバランスで調整することが重要です。優先順位を明確にし、どこにお金をかけ、どこで節約するかをあらかじめ決めておきましょう。

映え重視 → 施術性・照明が犠牲になる

映え重視で設計した結果、施術性や照明が犠牲になるケースもあります。

SNS映えする空間は集客に有利ですが、実際に働くスタッフにとって使いにくかったり、お客様の髪色が正確に見えなかったりすると、サービスの質が下がります。デザインと機能性のバランスを取ることを忘れないでください。

まとめ

美容室の内装は、世界観と条件と運用のバランスが重要です。

どれだけ理想的なデザインを描いても、保健所の基準を満たさなければ営業できませんし、動線が悪ければスタッフの負担が増え、サービスの質が下がります。

まず最初にすべきは、法律や保健所のルール、給排水・電気・空調といった設備条件、そして席数と動線の確認です。この土台があって初めて、韓国風、インダストリアル、ナチュラル、モード、ホテルライクといったデザインスタイルを選ぶステップに進めます。ターゲット層と価格帯を明確にすれば、スタイル選びに迷うこともありません。

費用については、坪単価だけでなく、仕様や既存状態によって大きく変動することを理解しておきましょう。居抜き物件の活用、造作と既製品のバランス、代替素材の検討など、工夫次第でコストは抑えられます。席数とレイアウトは売上に直結する要素なので、回転率、メニュー構成、スタッフの働きやすさを総合的に考えて決めるべきです。そして、これらすべてを実現するには、美容室に強い内装会社を選ぶことが不可欠です。

この記事で紹介したポイントを押さえながら、あなたらしい、長く愛される美容室を作り上げてください。